原薬GMP委員会 委員長
磯部 貴弘
(協和ファーマケミカル株式会社)
I.発足経緯
日本PDA製薬学会では、2000年5月より、関西勉強会の一部のメンバーでICH Q7Aに関する検討を開始しました。ICH Q7Aは、2001年11月に原薬GMPのガイドライン(医薬発第1200号)として通知され、ICH Q7Aの実践的な指針の作成を目指し、2002年5月に約30名で原薬GMP委員会として活動を開始しました。
II.活動ポリシー
原薬GMP委員会では、設立当初より継続して、以下に記載する3つのポリシーを大切にしながら、運営・活動しています。
- グローバルな視点で考えよう!
ICHあるいは欧米を含めた規制当局の各種ガイドラインなどを題材に、議論するとともに、意見反映ならびにメンバーへの公表などを行っていく。
- 次回改正に向け提案をしよう!
ICH Q7の次回改訂あるいは原薬GMPに関連するガイドラインの改訂、新規制定などに意見反映をする。
- 具体的な事例を以って議論しよう!
単なるあるべき姿を提供するのでなく、具体的な方法のレベルまで議論し、事例として公表する。
III.活動実績
原薬GMP委員会は、2002年5月から活動を開始し、2015年2月に第100回の定例会、2024年7月に第200回の定例会を開催しました。
2005年には、ICH Q7の解説書として、ICH原薬GMP Q&A集-FDAの考えに沿ったQ7Aの実践-(じほう社)を出版しました。その後、2008年頃にバイオ医薬品原薬の検討チームを立ち上げ、化学合成原薬だけでなく、バイオ原薬についても議論を開始しました。2012年には、ICH Q11(原薬の製造と開発)に関する議論を深め、その成果として「ICH Q11の解説と実践のHow to」と題したセミナーを開催しました。
ICH Q7の解説書として出版したICH原薬GMP Q&A集の発刊(2005年)以降、医薬品環境や規制の変化、ICH Q7の業界への浸透、アップデートされたガイドラインの内容を反映し、2015年に本委員会の検討結果の集大成として、ICH原薬GMP Q&A集 第2版-現場が求めるグローバル対応の実践知識-(じほう社)として内容を刷新しました。
最近の活動実績を以下に記載します。
書 籍
- 2005年 ICH原薬GMP Q&A集-FDAの考えに沿ったQ7Aの実践-(じほう社)
- 2015年 ICH原薬GMP Q&A集 第2版 -現場が求めるグローバル対応の実践知識-(じほう社)
- 2025年秋発刊予定 ICH 原薬GMP Q&A集 第3版(じほう社)
当委員会主催セミナー(2015年以降を記載)
- 2015年11月 原薬GMP委員会定例会100回記念セミナー
「原薬GMPアップデート~製薬企業が求める各極規制を踏まえた申請戦略から生産活動の知恵袋~」
- 2018年10月 原薬GMP委員会セミナー「バイオ原薬の連続製造」
日本PDA製薬学会年会発表(2015年以降を記載)
- 2016年 「原薬製造現場における新潮流とその取り組み」
- 2017年 「原薬におけるライフサイクルマネジメント」
~ICH Q12 [Established Conditions (ECs) , Post Approval Change Management Protocols (PACMP)] と洗浄バリデーション~
- 2018年 「製品ライフサイクルを通じた洗浄バリデーション(原薬)の取組み」
- 2020年 「原薬ライフサイクルマネジメントにおけるICH Q12の実践と活用例」
- 2022年 「連続生産の実装加速に向けて ~ICH Q13の施行~」
- 2024年 「低分子原薬の連続生産/原薬GMP Q&A集第3版の紹介」
Pharm Tech Japan投稿(2015年以降を記載)
<通常号>
- 2016年4月号(Pharm Tech Japan , Vol. 32, No.4 (2016), 581
「ICH 原薬GMP Q&A集 第2版~現場が求めるグローバル対応の実践知識~」の紹介
- 2017年5月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.7 (2017), 1303
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第1回 バイオ医薬品とは バイオ原薬の考え方
- 2017年6月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.8 (2017), 1549
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第2回 バイオ原薬製造施設特有の構造および設備
- 2017年7月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.9 (2017), 1927
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第3回 工程装置としてのシングルユース製品
- 2017年8月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.10 (2017), 2145
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第4回 バイオ原薬製造特有の原材料管理
- 2017年9月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.11 (2017), 2393
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第5回 バイオ原薬の製造および工程内管理
- 2017年10月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.12 (2017), 2751
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第6回 バイオ原薬の標準品
- 2017年11月号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.14 (2017), 2967
バイオ原薬ガイドライン理解とその実践 第7回〔最終回〕 バイオ原薬製造におけるバリデーション/リスクマネジメント
<増刊号>
- 2015年4月増刊号(Pharm Tech Japan, Vol.31, No.7 (2015), 1343
第5章 原薬GMPにおける最新規制動向 原薬GMPにおける最新規制動向
- 2017年4月増刊号(Pharm Tech Japan, Vol.33, No.6 (2017), 1153
第5章 原薬製造現場における新潮流とその取り組み 原薬製造現場における新潮流とその取り組み
~Established Conditions,洗浄バリデーション,連続製造技術~
- 2019年5月増刊号(Pharm Tech Japan, Vol.35, No.7 (2019), 1388
第8章 製品ライフサイクルを通じた洗浄バリデーション(原薬)の取り組み
- 2021年4月増刊号(Pharm Tech Japan, Vol.37, No.6 (2021), 927
第5章 原薬ライフサイクルマネジメントにおけるICH Q12の実践と活用例
- 2023年4月増刊号(Pharm Tech Japan, Vol.39, No.5 (2023), 960
第7章 連続生産の最新動向 連続生産の実装加速に向けて~ICH Q13の施行~
研修会講師
2018年~ 医薬品(原薬)GMP研修講座 (一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団と共催)
2019年~ 医薬品医療機器の品質確保に関する研修(国立保健医療科学院主催)
IV.現在の委員会活動
全体定例会:1回/1ヶ月(東京、大阪で開催。現在は対面とWebのハイブリッド開催)
第3土曜10:30~16:30開催
メンバー:約40名
現在、約40名のメンバーで、化学合成原薬ならびにバイオ医薬品原薬に関する下記のテーマについて、各10名程度で4つの分科会にて議論、検討しています。新しいガイドラインの読み込みや解釈だけに止まらず、具体的な事例に基づいた実践可能な提案ができるように、メンバー間で活発な議論・検討を行っています。
- ICH Q9R1「品質リスクマネジメントに関するガイドラインの改正」
ICH Q9R1は、2023年8月にStep 5に到達し、国内施行されました。 我々は化学合成原薬に関する品質リスクアセスメントについて、具体的な事例などの検討を進めています。
- ICH Q13「原薬及び製剤の連続生産」
ICH Q13は、2023年5月にStep 5に到達し、国内施行されました。連続生産に関して、化学合成原薬の観点からガイドラインの解釈および具体的な事例などの検討を進めています。
- バイオ原薬
唯一のバイオ原薬について検討を重ねている分科会です。現在は、ADC(Antibody-DrugConjugate)と核酸医薬品にフォーカスを絞り、バイオ原薬に関する具体的で実践的な提案ができるように議論を深めています。
- ICH Q7およびGMP
当委員会のベース活動であるICH Q7およびGMPの諸課題について、具体的で実践的提案ができるように検討しております。
分科会活動の他に、ICH原薬GMP Q&A集 第2版発刊以降、不純物管理に関するガイドライン(ICH M7、Q3D)の国内施行、ニトロソアミン問題、GMP省令改正など、GMPを取り巻く規制動向が大きく変化したことを踏まえ、現在、2025年秋のICH原薬GMP Q&A集の第3版の出版に向け、議論を重ねています。
メンバー募集について
設立当時からメンバーはかなり入れ替わると共に人数は増加しましたが、その一方で、取り上げるテーマや範囲などが拡大しており、メンバーの増強を計りたいと考えています。
当委員会の活動に興味のある方は、日本PDA製薬学会 事務局にご連絡ください。