無菌製品GMP委員会

2020年6月
委員長  バイエル薬品(株) 片山 博仁
副委員長 ファーマリンク(株) 原 芳明

 

無菌製品GMP委員会は当学会の委員会で、最大の参加人数を有しており2004年から活動している。現在、6つの分科会で隔月または臨時委員会として活発に研究を行っている。

  • 1 Group:容器完全性試験研究
    無菌医薬品では、微生物を主な対象としたバリア機能の適格性をそのライフサイクルに亘って証明する必要があり、容器完全性の管理は極めて重要な管理要素の一つである。近年、USPでは無菌製剤の容器完全性の考え方および管理手法を記載したUSP<1207>が改定され、日本薬局方第17改正においては、「製剤包装通則」に包装のバリア機能に関する要件が明記されるなど、注射剤の容器完全性の管理に関する社会的要件はますます高まりを見せている。ただしこのバリア性保証のための試験は全ての品目で同一の試験が適用できるわけでなく、数多くの試験法の中から、実行性、信頼性それぞれの観点から製剤特性に合わせた適切な試験法を選択することになる。本グループでは、容器完全性を損なう要因とその汚染リスクへの影響を整理し、そのリスク評価法としての容器完全性試験のあり方について検討を行っている。
  • 2 Group :注射剤異物目視試験研究
    本グループは、注射剤の不溶性異物について、日本市場における要求品質を満たすための保証方法を標準化し、ゆくゆくは国際的にも普及させることを目的として研究活動を行っている。その背景として、三局において異物の検査方法はハーモナイズしたものの、取り除かれるべき異物の基準が“たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない”というあいまいな状況が存在する。また、日本では、注射剤の異物に要求される品質が諸外国と比べて高い傾向があることから、海外製造所で製造した製品について国内で追加の目視検査を実施しなければならない実状もある。現在、目視検査員の検出力を数値化し、その評価方法を標準化することを検討している。統一されたレベルの検査員による、標準的な品質保証手順を構築できれば、日本薬局方が求める“たやすく検出される不溶性異物”というあいまいな判定基準に対して目視検出力の客観的な適格性を説明することができ、国際的にも日本市場が要求する品質を実現しやすくなると考えている。
  • 3 Group:微生物迅速試験法研究
    医薬品及び再生医療等製品の製造施設には、製造工程における微生物学的な品質管理や環境モニタリングなどは重要であり、製品への微生物学的汚染のリスクを最小限にし、その環境と品質をモニタリングする必要がある。近年、微生物迅速試験法の価値が急速に認知され、第17改正日本薬局方参考情報やPIC/S(EU)GMP Annex1などガイドライン上での記載頻度も高まっており、微生物迅速試験法を活用した最適で有効な新しい微生物管理の実現が求められている。そこで本グループでは、微生物迅速試験法の考え方と活用方法などを研究し、その成果を継続的に発表することで、規制当局と製薬企業及びサプライヤーへの微生物管理における新価値創造へと寄与することを目的とする。また本グループはユーザー(製薬企業)とサプライヤー(機器供給企業)でメンバー構成されており、両側面からのアプローチによる製造現場等での実践導入と適格性を重視し、応変で応用可能な研究も行っている。
  • 5 Group : 新しい無菌保証・汚染管理戦略の研究
    近年無菌医薬品の製造現場は、アイソレーターやRABSなどに代表されるような高度な無菌環境制御が可能な最先端の技術が導入されてきており、いよいよ人を介在させない完全自動化された無菌グローブレスアイソレーターの実用化も目前にせまっている。無菌操作法による医薬品製造技術の進展がみられる一方で、それに関わる法規制やガイダンス等は、その管理方法が従来のコンベンショナルクリーンルームを用いた製造方法に基づくままであると推察され、GAPが生じてきている。本グループでは、高度な無菌環境制御技術の発達に対して、医薬品製造に対する無菌性保証の在り方・汚染管理戦略の見直しと最適化について、サイエンスベース、リスクアセスメントの手法をもとに研究を行っている。あわせて汚染管理戦略を議論するにあたり、無菌性保証に関わる各技術・試験方法に関する歴史的経緯やその意義を調査し整理することで、理解を深めている。ファーマテックジャパンにも数多く投稿し、意見発表の機会も多い。
  • 7 Group : PIC/S GMP Annex1研究
    現代の無菌医薬品製造には、患者帰結の品質保証、最新技術の積極的活用、QRMを駆使した工程理解と合理的根拠の整備、設計思想と得られたデータに基づく管理戦略の正当性など、多岐にわたる企業実践への期待と要求がある。それらを構築、あるいは継続的に改善するにあたり、ひとつのデファクトスタンダードとして、EU-GMP_Annex1への関心は年々高まっている。本グループでは、現行Annex1から現在まで公開された改訂DRAFT(2017,2020版)への変化と変わらぬ思想に着目し、代表的かつ議論の絶えない注目トピックスを題材に、本質理解に基づく企業実践および業界への提起、啓蒙を目的に活動している。
  • 8 Group : 再生医療等製品GCTP研究
    再生医療等製品は無菌医薬品と同様に無菌製品であり、その製造と品質管理においての要件はGMPを基準としたGCTPで運用される。再生医療等製品は医薬品製造に比べて、ロットが小規模でヒトの介在操作や自動化・機械化への技術的課題が多く、作業者の手技に頼る現状が存在する。また再生医療等製品は多種多様で原料(ヒト細胞)や最終製品でのバラつきがあり、ケースバイケースでの運用が求められる場合が多い。このような現状から再生医療等製品の産業化は未だ発展途上的であり、特に製品の製造・品質管理において無菌医薬品とは異なる課題が多く存在する。これらの課題等を議論し世界標準へと導くための技術的ノウハウの開発やレギュラトリーサイエンスが急務だと考える。本グループでは、再生医療等製品の製造・品質管理に直面する課題や問題点、特に無菌製造法に関わる考え方や手法開発など研究し、その成果を国内外へ発表することで業界の活性化と産業化を促進させることを目的とする。
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