2026年1月
委員長 池松 靖人(国立大学法人大阪大学)
副委員長 森 充生(協和キリン株式会社)
副委員長 矢吹 知佳子(メルク株式会社)
委員会紹介
本委員会は、無菌医薬品およびATMP(再生医療等製品を含む)を中心としたヘルスケア製品の開発・製造・品質管理に関わる技術およびレギュラトリーサイエンスに関する情報提供と教育活動を主な目的として活動しています。また国内外の規制ハーモナイゼーションやガイドライン等策定への研究協力活動も積極的に取り組んでいます。
委員長より
無菌医薬品および ATMP の品質は、患者の生命と健康に直結する極めて重要な領域です。技術革新が加速し、規制要件が高度化する現在、科学的根拠に基づいた実践的な知識と、国際的な視点を持った議論がこれまで以上に求められています。
本委員会は、2004 年の創設以来、無菌製品に関わる技術・規制・教育の発展に寄与することを使命として活動してきました。多様な専門性を持つメンバーが協力し、最新の規制動向の分析、実務に根ざした研究、教育プログラムの提供、そして国内外の規制当局との建設的な対話を通じて、業界全体の品質文化の向上に貢献しています。
私たちは、科学的で透明性の高い議論を重視し、現場の課題に寄り添いながら、実装可能で持続性のある品質管理のあり方を探求していきます。また、次世代を担う人材の育成にも力を入れ、知識と経験の継承を積極的に進めてまいります。
今後も、患者に安全で高品質な製品を届けるという共通の目的のもと、産官学の連携をさらに深め、国際的な調和と科学的アプローチを推進していく所存です。
引き続き、皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
活動目的
無菌医薬品およびATMPの品質確保と患者安全性向上を図り、科学的根拠に基づく効果的かつ合理的な開発・製造・品質管理の実現に貢献することを目的として、当委員会は以下の活動を行います。
・関連する規制およびガイドラインの策定・改定に対し、科学的・技術的な視点から提言・貢献すること
・最新の規制・ガイドラインを体系的に分析し、実務に活用できる形でわかりやすく解釈した情報を提供すること
・最新技術を活用し、関連規制およびガイドラインに基づく無菌医薬品/ATMPの製造および品質管理に関する研究を行い、効果的な実装と管理に関する知見・提言を発信すること
・研究・調査活動で得られた成果を、研修講座やワークショップを通じて教育・人材育成に活かすこと
活動内容
本委員会の研究・調査活動は、6つの研究グループと分科会(内2つの研究グループ)から構成されており、無菌製品の製造・品質管理に関連する多様な課題について活発に取組んでいます。
各研究グループでの成果は、本委員会主催の無菌シンポジウム、研修講座、ワークショップ等を通じて、業界関係者、規制当局、関連団体へ広く発信しています。さらに、レギュレーションに関する国内外の規制当局および関係機関への情報提供や研究協力にも積極的に取り組んでいます。
研究グループの紹介(Research Groups)
RG-1 :包装完全性試験 ※新規メンバー募集中!(募集枠:2名まで)
無菌医薬品では、微生物を主な対象としたバリア機能の適格性をそのライフサイクルにわたって証明する必要があり、包装完全性の管理は極めて重要な管理要素の一つである。さらに近年において、USP<1207>や日本薬局方第18改正の「参考情報」における,気体(ガス)に対するバリア機能についての記載の追加や、PIC/S GMP Annex1における、包装完全性に関する記載の拡充など、注射剤の包装完全性の管理に関する社会的要件がますます高まりを見せている。ただしこのバリア性保証のための試験は全ての品目で同一の試験が適用できるわけでなく、数多くの試験法の中から、実行性、信頼性それぞれの観点から製剤特性に合わせた適切な試験法を選択することが必要となる。本グループでは、包装完全性を損なう要因とその汚染リスクへの影響を整理し、そのリスク評価法としての包装完全性試験のあり方について検討を行っている。
RG-2 :注射剤異物目視試験 ※新規メンバー募集中!(募集枠:5名まで)
本グループは、注射剤の不溶性異物について、日本市場における要求品質を満たすための保証方法を標準化し、ゆくゆくは国際的にも普及させることを目的として研究活動を行っている。その背景として、三局において異物の検査方法はハーモナイズしたものの、取り除かれるべき異物の基準が“たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない”というあいまいな状況が存在する。また、日本では、注射剤の異物に要求される品質が諸外国と比べて高い傾向があることから、海外製造所で製造した製品について国内で追加の目視検査を実施しなければならない実状もある。そこで本グループは、標準アンプルキットを作成し、各社と協力して実施したトライアル試験の結果から、目視検査員の検出力を定量化し、その評価方法を標準化する方法として、2025年10月から日本PDA製薬学会『注射剤不溶性異物目視検査 監督者及び検査員育成制度』を開始した。制度の普及を通して、引き続き、評価方法の標準化の検討に取り組んでいく。統一されたレベルの検査員による、標準的な品質保証手順を構築できれば、日本薬局方が求める“たやすく検出される不溶性異物”というあいまいな判定基準に対して目視検出力の客観的な適格性を説明することができ、国際的にも日本市場が要求する品質を実現しやすくなると考えている。
RG-3 :微生物迅速試験法
医薬品及び再生医療等製品の製造施設には、製造工程における微生物学的な品質管理や環境モニタリングなどは重要であり、製品への微生物学的汚染のリスクを最小限にし、その環境と品質をモニタリングする必要がある。近年、微生物迅速試験法の価値が急速に認知され、日本薬局方参考情報やPIC/S GMP Annex1などガイドライン上での記載頻度も高まっており、微生物迅速試験法を活用した効果的で合理的な新しい微生物管理の実現が求められている。そこで本グループでは、微生物迅速試験法の考え方と活用方法などを研究し、その成果を継続的に発表することで、規制当局と製薬企業及びサプライヤーへの微生物管理における新価値創造へと寄与することを目的とする。また本グループはユーザー(製薬企業)とサプライヤー(機器供給企業)でメンバー構成されており、両側面からのアプローチによる製造現場等での実践導入と適格性を重視し、応変で応用可能な研究も行っている。
RG-4 : PIC/S GMP Annex 1 汚染管理戦略(CCS) ※新規メンバー募集中!(募集枠:2名まで)
我が国でも、2021年に改正GMP省令が施行され、PIC/S GMPガイドの原則などが取り入れられることになり、PIC/S GMP ガイドの付属書(Annex)の中でも影響の大きいPIC/S GMP Annex 1(無菌医薬品の製造)が2022年9月9日に改訂され、2023年8月25日から有効化されて以来,規制当局のGMP査察も始められている。
特にAnnex 1の要である汚染管理戦略(CCS)の開発・設計・導入運用では、各企業やサイトで困惑している状況であり、CCSの適正な実践的導入を図るため本グループにて調査・研究を加速させることにした。当研究グループはAnnex 1の各章を横断的に研究し、CCS構築と運用における考え方や実践方法を導くことを目的としている。またその成果を業界や規制当局等へ発信・提案し、CCSの適切で実効性のある導入を助勢することを目指す。
RG-5 : PIC/S GMP Annex 1 滅菌技術 ※新規メンバー募集中!(募集枠:1名のみ)
滅菌工程は無菌製品の製造において重要管理点のひとつと考えられる。2024年8月に全体が有効化されたPIC/S GMP Annex 1において、8章の滅菌技術の関連項は2008年版と比較して詳細な要件が明記されている。当グループでは本項目を対象とし、PIC/S GMP Annex 1における滅菌技術に関わる要求事項に対する現状の施設構築および運用管理状況とのギャップ分析を行い、その結果を踏まえた対応方針の研究および実践的な事例検討を行っている。
RG-6 : PIC/S GMP Annex 1 環境及びプロセスのモニタリング ※新規メンバー募集中!(募集枠:2名まで)
PIC/S GMP Annex 1が2023年8月より有効化されたことで、無菌製剤製品(再生医療等製品含む)の製造所では、Annex 1の対応へ移行されることは明確となり、特にその重要ポイントして汚染管理戦略(CCS:Contamination Control Strategy)の開発と運用が求められる。そこで本グループでは、CCS開発・運用における「環境及びプロセスのモニタリング」に焦点を置いて、リスク評価に基づいた実用的な環境モニタリングプログラムの構築やAPS(Aseptic process simulation)の研究を行う。
ATMP/再生医療研究分科会 ※新規メンバー募集中!(募集枠:5名まで)
ATMP(再生医療等製品含む)は無菌医薬品と同様に無菌製品であり、その製造と品質管理においての要件はGMPで運用される。ATMPは医薬品製造に比べて、ロットが小規模でヒトの介在操作や自動化・機械化への技術的課題が多く、作業者の手技に頼る現状が存在する。またATMPは多種多様で原料(ヒト細胞)や最終製品でのバラつきがあり、ケースバイケースでの運用が求められる場合が多い。このような現状からATMPの産業化は未だ発展途上であり、特に製品の製造・品質管理において無菌医薬品とは異なる課題が多く存在する。これらの課題等を議論し世界標準へと導くための技術的ノウハウの開発やレギュラトリーサイエンスが急務だと考える。
本分科会では、ATMPにおける特有の課題について取組み、共通課題を密に議論を図る目的として東日本と西日本の2つの地区での活動を促進させるために、研究グループを設置し、ATMPの製造・品質管理に直面する課題や問題解決方法など研究し、その成果を国内外へ発表することで業界の活性化と産業化を促進させることを目的とする。
またグローバルでの規制動向や対応についても研究しており、ATMPの産業化に直結する様々な課題についても取組んでいる。
RG-East : 東日本地区/研究グループ
当グループは基本的にリアルでのグループミーティング(1回/月)を主としており、東日本地区に所属を置いているメンバーにより構成されている。
RG-West : 西日本地区/研究グループ
上記と同様であり、西日本地区に所属を置いているメンバーにより構成される。
現在のメンバー数や活動頻度など
メンバーを募集しています。ご興味がある方は日本PDA製薬学会事務局までご連絡ください。
・活動頻度:2か月に1回(6回/年)土曜日に会合を開催 (東京及び大阪会場)
・メンバー数:73名(2026年1月現在)
・本委員会は国内外の規制当局等の研究協力活動が多いため、委員会メンバーが安心して活動できる環境整備に努めています。委員会では独自の「会員ガイドブック」を策定しており、加入後に詳細をご説明のうえ、遵守をお願いしています。
・情報収集のみを目的とするご入会は固くお断りしております。
